【開催レポート】福井県高付加価値化セミナー「高付加価値で持続可能な地域づくりに向けて」②
観光の「量」から「質と量の両立」へ
世界に選ばれるデスティネーションを目指して
2026年7月15日に開催した「福井県高付加価値化セミナー」は、県内各地から80名を超える参加者が集まりました。
本セミナーの後半は、「高付加価値で持続可能な観光地域づくり」を目指して取り組まれてきた先進的な事例を、3か所のキーパーソンの方々から、それぞれの特徴を踏まえながら発表いただきました。
(前半の開催レポート①はこちら)
各地の取組事例の紹介
📍県DMOとしての活動と地域DMO・観光協会・事業者との連携
佐藤 啓介 氏(一般社団法人長野県観光機構)
先ずは「地域主体の観光地域づくりを県DMOが後方支援し、高付加価値観光の基盤整備を進めるモデル」について、連携のあり方を中心に発表いただきました。
*要点
・長野県観光機構は「地域が主役」を基本方針とし、県DMOは地域DMOや観光協会を支援する立場に徹している。
・県内のDMOや観光協会の経営課題を共有・解決するため、「DMO・観光協会サミット」を開催し、人材確保、事業連携、データ活用などの共通課題に取り組んでいる。
・地域共創事業では、県DMO職員を地域や事業者へ派遣し、自走できる体制づくりを支援している。
・高付加価値化に向けては、アドベンチャートラベル(AT)を重点分野とし、海外レップの設置、ランドオペレーション体制の整備、外国語対応ガイド育成を進めている。


📍地域DMOとしての活動とガイドの重要性
西木 真央 氏(海の京都DMO)
次に「高付加価値旅行者を受け入れるためには、質の高い地域体験と、それを伝えるガイドの存在が不可欠である」ことを、主にガイド業にスポットを当て説明いただきました。
*要点
・海の京都では主に英国、米国、フランス、スイスなど欧米豪市場をターゲットとして受け入れを行っている。
・「責任ある観光」を重視し、2泊3日以上の滞在、地域体験の予約、地元レストランの利用、旅行者への旅行前レクチャーを推進している。
・地域の工芸、食、ウォーキング、サイクリングなど多様な体験商品を造成し、その数は34本。地域との接点を増やしている。
・ガイドの役割は単なる案内人ではなく、安全管理、時間管理、インタープリテーション(地域の価値を伝える解説)、情報提供を担う重要な存在として位置付けている。
・「Kyoto Oni Trail」やサイクリングツアーなど、地域の自然・文化を深く理解してもらうAT商品の展開を進めている。


📍地域資源の発掘と商品化および価値の伝え方
広瀬 徹 氏(一般社団法人Expe)
最後に「地域資源そのものではなく、その背後にある世界観や物語を編集し、高付加価値商品として提供することが重要」という点を、商品の届け方という目線で語っていただきました。
*要点
・山陰地域の本質的価値である自然・歴史・文化・精神性を活かし、「人生の価値観が変わるデスティネーション」を目指している。
・体験観光プラットフォーム「おせわさん」を展開し、地域住民と旅行者をつなぐ属人的で本物の体験を商品化している。約30名の地域プレイヤーと約60の商品を展開。
・山陰の魅力は個々の観光資源ではなく、「出雲神話」「自然との共生」といった一貫した世界観にあると説明。
・高付加価値化には、点在するアクティビティを線や面で結び、物語(ストーリー)として編集することが重要と提言。
・宿泊・食・移動を含めた総合的な商品設計と販売体制の構築により、地域内で利益が循環する持続可能な観光エコシステムを目指している。
・さらに山陰・せとうち地域の広域連携を進め、AdventureWEEK2026などを通じて国際市場への発信強化を図っていく。


まとめ(3名の講演から共通して見えたポイント)として、
・高付加価値化は単なる高価格化ではなく、地域固有の価値を深く体験してもらうこと。
・ガイドや地域住民など「人」が体験価値を左右する重要な資源であること。
・地域内外の連携により、点在する資源をストーリーでつなぎ、持続可能な地域経済循環をつくることが必要であること。
が、今後目指していく方向性として提言されました。

以上の通りセミナー後半の各地からの発表は、「①組織連携→②受入体制・ガイド→③商品化・価値発信」という流れで説明され、それぞれの局面での肝となる事項を共有できました。その後質疑応答に移り、短い時間ではありましたが、文字だけではうかがい知れない登壇者の思いにも触れられ、有意義な時間となりました。
JATOはこれからも地域の皆様と力を合わせて持続的な観光の実現に向けて努力していきます。ぜひ皆様の課題感をお聞かせください。お問合せはこちら
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
