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【開催レポート】福井県高付加価値化セミナー「高付加価値で持続可能な地域づくりに向けて」①

観光の「量」から「質と量の両立」へ
世界に選ばれるデスティネーションを目指して

2026年7月15日、(一社)日本アドベンチャーツーリズム協議会主催および(公社)福井県観光連盟およびふくいヒトモノデザイン(株)の後援のもと「福井県高付加価値化セミナー」を開催しました。当日は県内各地から80名を超える参加者が集まりました。
本セミナーの前半は、福井県を目的地とする観光の高付加価値化を目指し、「高付加価値で持続可能な観光地域づくり」をテーマに、我が国における先進的な取組事例と実践知の共有を図るため、弊協議会のチーフディレクター・山下真輝氏の基調講演からスタートいたしました。

基調講演 : 高付加価値で持続可能な観光地域づくりに向けて

山下氏の講演は以下の4つのポイントから成り、観光の成功を単に「来訪者数の増加」で測る時代から、「地域と旅行者双方に価値を生み出す質の高い観光」へ転換することが重要であること、福井県が世界に選ばれる観光地となるためには、地域固有の自然・文化・歴史を活かし、旅行者に深い体験と変容(トランスフォーメーション)を提供することが求められる というキーメッセージを残しています。

📍1.福井県インバウンドの現状と課題
講演では以下のような課題認識があげられました。
・福井県の外国人宿泊者数は約11万人で、2029年目標の40万人達成には大幅な伸びが必要。
・訪日市場は中華圏だけでなく欧米豪市場の存在感が高まっている。
・「石川止まり」(金沢に旅行者が集中)構造や日帰り観光中心などからの脱却が必要。
福井県は全国の旅行消費額の0.05%(5千分の1)に満たないものの、裏を返せば伸びしろは十分過ぎるほどあります。今後は「量」の拡大だけでなく、「質」と「量」の両立を目指し、一人当たり消費額や地域への貢献度を高める観光地の設計が求められます。

📍2. 外国人旅行者の変化と世界の観光トレンド
引き続き、データを引用して様々な面から訪日旅行市場のトレンドが紹介されました。
・消費行動は「モノ消費」から「コト消費」へシフトしている。
・宿泊費や体験・娯楽サービスへの支出が増加。
・世界的には「滞在日数を延ばす」「ゆっくり楽しむ」旅が主流になりつつある。
・2026年の注目キーワードとして、「Whycation(旅の目的を重視)」「JOMO(情報から取り残される不安ではなく、あえて選ばない豊かさ)」「ウェルネス」「レガシー旅行」「AIの活用」 が挙げられている。
つまり、旅行の意味や価値を重視する旅行者が増加しており、癒しや探求を軸に、ウェルビーイング志向やリアルな交流回帰、感動価値の再発見が世界的な旅行のトレンドとなっています。特にSNS全盛の現代で敢えて”情報過疎”を楽しむという「JOMO」という概念は、心の豊かさのキーワードとなりそうです。

📍3.「高付加価値旅行者」とは何か
引き続き講演では、そのトレンドを受けて改めて「高付加価値とは何か」を掘り下げています。
・滞在中に100万円以上消費する旅行者は全体の約1%だが、消費額全体の14%を占める。
・高付加価値化とは単なる高価格化ではない。
・「ラグジュアリー」から「意味のある体験」へ価値観が変化している。
・世界では、地域の本質や文化を深く体験したい「Authentic Seekers(本質探究者)」が増加。
・真の高付加価値は、旅行者の価値観や人生に変化をもたらす「変容(トランスフォーメーション)」にある。
・地域の真正性(Authenticity)に根差した体験こそが、高い対価を生む源泉となる。
このように、消費的贅沢から本物の体験や心の豊かさを求めることに、価値の軸足が移っています。
また「SBNR(Spiritual But Not Religious)」という概念も紹介され、「宗教には属さないが、精神的・内面的な豊かさを重視する」考え方で、日本にはこれに応え得るものも沢山ありそうです。

📍4.世界に選ばれるデスティネーションを目指して
「本質探究者」はどんな旅を志向するか?から更に議論を深め、サステナブルツーリズムから、地域環境や社会により良い影響を与える「リジェネラティブ(再生型)観光」への発展が必要としています。
・評価基準は「来訪者数」から、「体験の質」「地域への貢献」「地域住民との関係性」へと移行している。
・観光を通じて自然・文化・地域経済がより良くなる仕組みづくりが重要。
そして、福井らしい物語や精神性を磨き上げることが、国際競争力向上につながるとしています。

最後に山下氏は、まとめ(講演の結論)として、
・高付加価値化とは単なる値上げではなく、旅行者に「人生に残る体験」を提供することである。
・観光を「見学型」から「体験型」へ転換し、旅行者を地域の物語の一部に巻き込むことで、地域にも持続的な価値を生み出すことができる。
・福井県は自然・文化・歴史・食といった強みを磨き、世界の本質探究型旅行者に選ばれる持続可能な観光地を目指すべきである。
と方向性を示し、この講演を締めくくっています。

セミナーは引き続き、各地の取組事例の説明へと進みました。これについては、次回の配信記事で共有いたします。

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